こんにちは!
横浜市神奈川区でフルート教室をしている岡本元輝です!
今回は、2023年8月にご逝去された作曲家、福島和夫さんの「冥」をご紹介します!
福島和夫さんは多くのフルート作品を作曲家されましたが、冥はそのなかでも有名な作品だと思います。
作品名 | 冥 |
作曲家 | 福島和夫 |
生没年 | 1930-2023 |
作曲年 | 1962年 |
演奏時間 | 約5分 |
福島和夫(1930-2023)は、日本の作曲家。
独学で作曲を学び、1951年から1957年にかけて活動した若手芸術家集団「実験工房」に参加。
彼の作風は、日本の伝統文化である禅や能の思想を音楽の中に取り入れ、より深遠な表現を目指しました。
1970年代には作曲活動を辞め、上野学園大学にて日本音楽史研究所所長として活躍しました。
福島和夫作曲:冥
恩人のために書いた作品
福島和夫は、1961年にダルムシュタット夏季現代音楽講習会に講師として参加。
冥は、この講習会の創始者である音楽学者・批評家のヴォルフガング・シュタイネッケ(1910-1961)が1961年の暮れに亡くなったことを知り、1962年に作曲しました。
余談ですが、
ダルムシュタット夏季現代音楽講習会が始まった1946年以前のドイツは、ファシズム体制下にあったため、
12音技法などは退廃音楽として弾圧されていました。
ですが、この講習会をキッカケに解放され、より自由な表現ができるようになったといわれています。
現在もこのダルムシュタット夏季現代音楽講習会は開催していて、現代音楽を学ぶ演奏家、作曲家が世界中から集まっています。
ちなみに次回の開催は2025年です。
冥とは
辞書にはこのように書かれています。
作曲者自身の言葉
冥について、福島和夫さん自身の言葉が残されています。
弔笛。笛の音が此世と彼世のふたつの世ながらに響く。「冥」くらい。ふかい。遠い。とおざかる。黙して思う。宇宙的無意識。
この言葉から、「冥」をどう組み立てていくのか、演奏家として試されているような気がしてなりません。
個人的にですが、
演奏者の精神性や感性、間の取り方、音色の選び方など、
かなり高いレベルで求められる作品なのではと思っています。
【演奏動画】福島和夫作曲:冥
さいごに
冥をはじめて聴いたのは僕が高校生のときにフルートを習っていた故・甲斐道雄先生のCD(個展)に収録されていた演奏でした。
僕のお気に入りの演奏の1つです。
道雄先生が亡くなって10年以上が経ちました。
いまでもレッスン室での先生の姿が目に浮かびます。
11月のリサイタルでは、福島和夫さんの「冥」と「鎮魂歌」を演奏させていただきます。
果たして僕は、現世と今世をつなぐ笛の音色を鳴らすことができるのか。
聴きにいらしてくださるとうれしいです!
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