こんにちは!
横浜市神奈川区でフルート教室をしている岡本元輝です!
今回ご紹介するのは、福島和夫さん作曲の鎮魂歌です。
フルート作品を数多く作曲した福島和夫さんですが、最初に書いたのが鎮魂歌でした。
こちらの記事でご紹介した冥よりも演奏頻度が少ないのが少し残念です。
作品名 | 鎮魂歌 |
作曲家 | 福島和夫 |
生没年 | 1930-2023 |
作曲年 | 1956年 |
演奏時間 | 約4分 |
福島和夫作曲:鎮魂歌
舞台作品「オルフェ」のプロローグとして作曲された
鎮魂歌は9人の室内アンサンブルの舞台作品「オルフェ」のプロローグとして1956年に作曲されました。
残念ながら、舞台作品「オルフェ」についての情報がいくら調べてもなかなか出てこず。
もし、こんな情報があるよ!
と何かご存知の方がいらっしゃいましたら、教えていただけるとうれしいです!
鎮魂歌は12音技法を用いて作曲されている
鎮魂歌は、シェーンベルクやウェーベルンといった作曲家が用いた12音技法を使用し作曲されています。
福島和夫さんが所属していた「実験工房」では、シェーンベルクの代表作「月に憑かれたピエロ」の日本初演など手がけました。
おそらく、そのときシェーベルクの作品を通して12音技法に触れ、自身の作品に用いたのではないかと思います。(※あくまで推察です。)
鎮魂歌では全部で7つの音列に分けることができます。
この曲は無伴奏フルートのために書かれているので、12音どこからどこまでが1つの音列かわかりやすいです。
ちなみに鎮魂歌では、基本となる音列と逆行形、反行形、反逆行形が使用されています。
12音技法についてはこちらのページがわかりやすく解説しているのでぜひ読んでみてください!
作曲者の言葉
この作品にも福島和夫さんご自身の言葉が残されています。
彼自身が、自分の作風について言及されている貴重な言葉です。
1960年代の前半までの私の仕事は、ほとんどは「鎮魂歌」だといってもいい。
戦乱のなかに少年期をもったことは、やはり重大なことだったと、いまにして思う。
鎮魂の二つの面、即ち“たま写り”と“たましずめ”の(うち)、
私の鎮魂歌は後者の性格が強いというのも、そのことと関係があってのことであろう。
演奏動画 / 福島和夫作曲:鎮魂歌
さいごに
実際に鎮魂歌を練習していて感じるのは、決して静けさだけではないということ。
戦争で亡くなられた方の魂が召されることへの祈り。
そして、亡くなられた方々の悲痛な叫び。
亡くなった方々を目の当たりにした福島和夫自身の悲痛な叫び。
彼自身の魂を鎮めるための祈り。
そんな曲に思えてしまいます。
生前の福島和夫さんにお会いする機会はありませんでしたが、お会いして作品込めた「想い」についてお話を伺ってみたかったです。
いずれ必ず迎える「死」。
改めて自分自身が「いまどうありたいのか」を考えるキッカケになりました。
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